私はTC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)をしていましたが、パクリタキセルの副作用でほぼ必発なのが脱毛です。
パクリタキセルは乳がんや子宮頸がん、子宮体癌で使われることが多いです。
脱毛はかなり精神的なダメージが大きい副作用で、最近は脱毛の副作用を軽くできないかと頭皮冷却が行われる施設が増えてきました。
まだまだできない施設もたくさんあるのですが、実体験をまとめたいと思います。
頭皮冷却とは
手足の痺れ対策のために冷却や圧迫をして抗がん剤が届きにくくするように、頭皮を冷やして血管を収縮させて抗がん剤が届きにくくする(=脱毛が少なくなる)という方法です。
国内外のガイドラインに唯⼀、脱⽑に対する対策⽅法として「頭⽪冷却療法」が記載されており、国内では2019年3⽉に⽇本で厚⽣労働省に薬事承認され、保険外診療として全国の約50施設で導⼊されています。(https://toranomon.kkr.or.jp/cms/innovate/scalp-cooling/より引用)
脱毛を0にすることは難しいのですが、脱毛量が50%ほどに減らすことができるそうです。
実際の写真
青いひんやりジェルの帽子をかぶってから、この灰色の帽子をかぶって、顎でベルトをとめて強く締めます。
顎にハンカチを挟んでいるのは、顎を守る目的+顎が痛くなった時にハンカチを引っ張って痛みを逃がすためです。
この写真では見えないのですが、頭の後ろからホースが伸びていて、機械につながっています。
機械で冷やされた冷却水(-4度)が常に循環して頭皮を冷やし続けます。
頭皮の温度は19度になります。寒い。
トイレに行くときはナースコールをしてホースを外してもらって、キャップをつけたままトイレへ。
冷却の効果が薄れるので8分以内に戻る必要があります。
頭皮冷却の値段
保険外診療です。
私が通院している病院の例をご紹介します。
キャップを購入する場合
キャップの購入代金が10万円ほど、毎回の料金は5000円くらいだったと思います。
キャップは12回使用できます。
キャップをレンタルする場合
1回15400円でした。
乳がんのように抗がん剤を12回するような場合だと、レンタルよりも購入の方がお得になるようでした。
頭皮冷却に際して準備するもの
・ハンカチ:顎に挟む用
・バスタオル:冷却前に頭皮を霧吹きで濡らす時に使用
・クリームタイプのトリートメント(低刺激なもの):頭皮とキャップが密着しないように
・ヘアバンド:おでこや耳のあたりの痛みの軽減のために使う
・目の粗い櫛(タングルティーザーでもOK):頭髪に負担をかけないように
・防寒対策(ダウン、カーディガン、マフラー、靴下、カイロ):これでもかというくらいの防寒装備が必要。とにかく寒い。
・泡のシャンプー:家で、泡のシャンプーで優しく洗うため
頭皮冷却にかかる時間
投与前30分〜投与後90分が頭皮冷却の時間です。
乳がんのレジメンだと抗がん剤の投与時間が短く60〜90分ほどで計3時間半ほどですが、
TC療法ではパクリタキセルの投与時間は3時間なので
パクリタキセル投与前30分+パクリタキセル投与中(3時間)+投与後90分
の計5時間冷やします。
長い。
私の実際の抗がん剤投与スケジュールは
30分 アロキシ、デキサート、ファモチジン(アレルギー予防、吐き気どめ)
30分 ネオレスタール(アレルギー予防)
3時間 パクリタキセル
1時間 カルボプラチン
15分 生理食塩水でルート分の抗がん剤を流す
という感じだったので、頭皮冷却をする分、投与終了後15〜20分ほど長くなるだけで済みました。
頭皮冷却のメリット
・脱毛を予防、最小限にできる
・永久脱毛する部分を減らせる
・発毛がはやくなる
頭皮冷却のデメリット
・高額なので経済的に負担
・とにかく寒い
・冷却に伴う頭痛や吐き気がある
頭皮冷却をするにあたってのお約束
・洗髪は週に2-3回にする
・シャンプーは泡のものでふんわり優しく洗う
・カラーやパーマはあてない
・ドライヤーは使用せずタオルドライにする
・くしはできるだけ目の粗いものを使う
頭皮冷却の効果、感想
私は1クール目は頭皮冷却ができなかったので、2クール目から6クール目までの5回実際に頭皮冷却をしました。
1クール目が終わって3週間後にほぼすべての毛が抜け、そこから落武者状態でしたが、5クール目あたりから発毛しはじめ、6クール目の頃には頭皮全体に1cmほどの発毛がみられるようになりました。
頭皮冷却をしていなくても発毛する人もいるようですが、私の場合はキャップがかぶれない耳の前〜もみあげの部分はまだ発毛していないので、頭皮全体の発毛は頭皮冷却の効果かなと思います。
もし1クール目も頭皮冷却できていたらそもそも脱毛がかなりおさえられたのでは…?と思います。
ウィッグなしは難しくても、50%髪の毛が残っていれば帽子だけでも変じゃないくらいにはなると思います。
また、頭皮をガンガン冷やすためとにかく寒く、手足の血管が収縮する影響か手足の痺れは全く出ませんでした。(手足の冷却と圧迫対策ももちろんしています)
ただ、抗がん剤の投与記録にも書いてありますが、とにかくめちゃくちゃ寒い。
極寒。
頭痛もあったし吐き気もあったし、顎も痛かったし何度挫けそうになったかわかりません。
それでも髪の毛への熱い思いで耐えたという感じです。
実際に体験してメリットデメリットを感じた今、もう一度選べるとしたら、やっぱり頭皮冷却をすることを選ぶだろうなと思います。